(2019.4.19)
代表医師の中嶋です。
脳梗塞急性期の抗血小板療法として,アスピリンの投与は脳卒中治療ガイドライン2015においてもグレードAで推奨されています。あまりにも当たり前のように行われている,このアスピリンの投与ですが,今回はその根拠を再確認するために,アスピリンの有効性を示した有名な論文を紹介します。
掲載雑誌:Stroke (impact factor:6.239 ⇒ 脳卒中の領域では影響度の大きい雑誌です)
タイトル:A Combined Analysis of 40000 Randomized Patients From the Chinese Acute Stroke Trial and the International Stroke Trial
著者:Chen ZM, Sandercock P, Pan HC, 他
掲載号数・ページ:2000;31:1240-1249
論文内容:「CASTとISTの結合解析」
CASTは,アスピリン群(アスピリン160mg/日,4週間投与)とプラセボ群をランダム化した二重盲検試験で,1997年に報告されました(Lancet 1997; 349: 1641-1649)。
ISTは,登録された全例の半数にアスピリン300mg/日を2週間投与,半数にヘパリンまたは未分画ヘパリンを投与し,アスピリン単独群,アスピリン+ヘパリン群,ヘパリン単独群,未分画ヘパリン単独群,非投与群の6群にランダム化した試験で,こちらも1997年に報告されました(Lancet 1997; 349: 1569-1581)。
対象患者数は,合計40090例(CAST 20655例,IST 19435例)で,発症から48時間以内の脳梗塞患者です。
結果は,脳梗塞の再発について,アスピリン群320例(1.6%)で対照群457例(2.3%)と比較して,有意な減少がみられました(2p<0.000001)。
出血は,アスピリン群で202例(1.0%),対照群167例(0.8%)とアスピリン群において多い結果でしたが,有意差は認められませんでした。
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(解説)
本解析結果から,世界的にアスピリンは脳梗塞急性期の標準治療となり,わが国でも脳卒中治療ガイドライン2004にて,グレードAとして推奨され,今日に至ります。
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